テレビやYoutubeのグルメリポート番組を見ていて気になるのが「肉汁」の読み方。「にくじゅう」と言う方もいれば「にくじる」というタレントさんもいますね。気になったら解決しておきたい当サイトとしては、しっかり調べて正しい読み方を解明したいと思います。
「肉汁」の読み方はどちらもOK?
やはり言葉と言えば「広辞苑」。早速調べてみると…
にくじゅう【肉汁】
①牛肉などからしぼりとった液汁。肉漿(にくしょう)
②鳥獣の肉を煮出した汁。スープ。
③肉を焼くときにじみ出る汁。
にくじる【肉汁】 ➡ にくじゅう
昔は「にくじゅう」と習っていた記憶だったのですが、天下の広辞苑に「にくじる」も掲載されているので、結論から言いますと、『肉汁の読み方は、“にくじゅう”でも“にくじる”でもいい』ということですね。
『広辞苑』ではニクジュウもニクジルもありますが、『大辞林』や『大辞泉』『新明解』などではニクジュウだけで、ニクジルは見当たりません。どの辞書も読み方については、見出語を「にくじゅう」としていて、「にくじる」「にくしる」は探せませんでした。
放送業界で決まりはないの?NHKはどうしてる?
NHK放送文化研究所の記載を見ると、“放送ではなるべく伝統的な言い方である「ニクジュー」を使うようにしています”とあります。
「にくじゅう」でも「にくじる」でもなく『ニクジュー』とは!?最後は音引きなんですか?これは“発音”を表しているのかな。
昭和18年発行の日本放送協会『日本語アクセント辞典』では「ニクジュー」と記載されていて「にくじゅう」を伝統的な読みとして放送で使ってきたようです。参照文献:国立国会図書館デジタルコレクション/コマ番号298
近代になって、若い世代中心に「肉汁=にくじる」という読み方が多くなり、NHKが2000年に実施した「ことばのゆれ調査」で、「肉汁」をニクジルと読むと答えた人が7割超に。それを受けて放送用語委員会で「ニクジル」も認められたと言うことです。
ただし、NHKの放送の現場では今でも「ニクジュー」が主流になっているとのこと。
類似の読み方をご紹介
「汁」を「じゅう」と読む熟語は他にも
苦汁=くじゅう
果汁=かじゅう
墨汁=ぼくじゅう
などもあります。
まとめ
若い世代が「肉汁=にくじる」と読みはじめたのは、いわゆる『重箱読み(じゅうばこよみ)』の影響だといわれています。重箱読みとは、熟語の上の字を“音”、下の字を“訓”で発音するもの。
肉がつく熟語で言えば、「肉太=にくぶと」「肉細=にくぼそ」「肉厚=にくあつ」「肉色=にくいろ」などありますね。